コラムCOLUMN

糖尿病の飲み薬 No.4

ドクターコラム

「インクレチン関連薬のこれから」
 

インクレチンおよびその関連薬について書いてきました。
新しいホルモンの名前、創薬のデザインや英語名の薬の名前などがたくさん登場し、 ややこしくて途中で
読むのを投げ出した方がおられるかもしれません。もう少しおつきあい下さい。
 

日本ではDDP-Ⅳ阻害薬の3つが厚労省に新薬として認可申請されていると聞いています。来年には発売されるでしょう。
GLP-1受容体作働薬ではLiraglutideというGLP-1の化学構造を修飾して寿命を長くした薬が 同様の状況にあります。
インクレチン関連薬の開発の簡単なストーリーを見てもわかりますが、
1992年のexendin-4の発見から今年で17年経過しています。
新薬開発の最後のプロセスが治験(臨床試験)です。当院でも治験を行っていますが治験に関する私自身の考えはあらためて述べたいと思っています。

院長コラムVol21で糖尿病薬の直面している課題として以下のことをあげました。
1) 低血糖の不安がある
2) 食後血糖はいろいろな要素で決定されるのでコントロールが難しい
3) 飲み薬によってはどうしても体重が増える。
4) 膵ベータ細胞機能(膵臓のインスリンを作る能力)の疲弊が避けがたい。
少し既にふれましたが、インクレチン関連薬がこれらの課題に応えうるか考えてみましょう。

ここでは1)、4)について考えてみます。
GLP-1のインスリン分泌刺激作用には特徴があります。
刺激作用を発揮できるのは食後の高血糖が存在しそれによるインスリン分泌刺激があるときだけ
なのです。 このことの意味は血糖が低いときにはGLP-1は働きにくく、低血糖を起こしにくいという
ことです。
一方、前にふれたスルフォルニル尿素剤などは血糖値にかかわらず同程度効きますので低血糖につな
がります。事実、単剤を使用して治験では低血糖が起きていません
このことの恩恵は大きいと思われます。
GLP-1受容体作働薬は膵ベータ細胞機能を改善することが動物を使った試験でわかっています。
人での成績でもいくつかの物差を指標にしてβ細胞機能が改善する可能性が示されています。
さらに成績の積み重ねが必要と思われます。

ここまで書いてきて重要なテーマである低血糖についてこのコラムで一度も取り上げていないことに気づきました。
次回からのテーマにしたいと思います。

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