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ヘモグロビンA1c と平均血糖値

ドクターコラム

ヘモグロビンA1c(HbA1c)は大切な糖尿病の血液検査です。糖尿病の方は毎月一回検査を受けて
おられると思います。
日本糖尿病協会発行の「さかえ」を引用します。
「☆グリコヘモグロビン(HbA1c)って?
血液中には赤血球があり、そのなかに酸素を運ぶヘモグロビンというタンパク質があります。
ブドウ糖はタンパク質とひっつきやすく、血糖値が高いと、血液中のブドウ糖がヘモグロビンとくっつき、グリコヘモグロビン(HbA1c)に変わります。
よって、血糖値が高ければ高いほど、グリコヘモグロビン(HbA1c)の比率が増えます。
グリコヘモグロビン(HbA1c)は、赤血球の平均寿命(約4カ月)の約半分にあたる1,2ヶ月の平均血糖値を反映しています。HbA1c検査はヘモグロビンのうち、グリコヘモグロビン(HbA1c)に変わったものが、どれぐらいあるかをみる検査です。(月刊 糖尿病ライフ 「さかえ」 2007年、8月号)」したがって、糖尿病治療のよしあしのいい目安になり、目標は6.5%未満です。
8.0%を超すと治療の見直しが必要
になります。

ここで注意したいことはヘモグロビンA1c(HbA1c)の単位は上の説明でわかるように%で表されます。
一方、血糖の単位は濃度の単位でmg/dlで表されます。このことから、有用な検査ですが患者様に説明しにくい事情が生じていました。
「今日の私の血糖は156(mg/dl)といわれたけど、HbA1c は7.2(%)でもう一息がんばりましょうといわれた。HbA1cは血糖の平均値の物差しと言われたけれど、数字の桁が違うけどどういうこと?」というわけです。
その説明の方便として今まで日本の糖尿病診療では奇妙なたとえ話が流布していました。
HbA1cの数字の頭に3をつけ、その数字を今のあなたの体温と考えてみて下さいというものです。
つまり、HbA1cが6.5%であれば体温が36.5度で平熱と考えてください、一方それが8.0%であれば体温が38.0度あることになるので大変ですよという喩えです。
一見わかりやすそうですが、さらに単位が“度”になり何のことかと首をかしげる患者さんがおられるようです。
ある先生から聞いた話ですが、このたとえ話を患者様にしたところ、「先生私は風邪を引いてませんよ」と言われたそうです。

HbA1cの数値から平均の血糖値が類推できればもっともわかりやすいと考えられます。
やっとその方法が先月の専門誌に報告されました 。このことを可能にしたのが以下の技術です。
持続的(血)糖測定(continuous glucose monitorng;CGM):

電気インピーダンスを利用して皮下組織中のブドウ糖濃度を連続的に測定する方法です(血中ではなく皮下組織 のブドウ糖濃度を測定するので厳密には血糖検査ではありません)。
この方法を用いてたくさんの患者様から測定した多数の血糖値とHbA1c値を比較することにより、HbA1c 値から 平均血糖値を推定することができました。
図に示すように、例えばHbA1c7.0%の方の平均血糖値は154mg/dlと推定できます(自分の血糖は大体150mg/dlぐらい だなと実感できます)。

われわれ医療従事者にとっても患者様にとっても有力なツールが手に入ったと思います。
糖尿病診療における大きな成果であると考えます。

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