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カーボカウント Q&A No.1

ドクターコラム

「白いご飯と豚ロースのトンカツとどちらが体によいのでしょう?」

体によい食事とはどんなものなのでしょうか?
今回からシリーズでこの問題を考えてみたいと思います。
本日は総論的なお話をします。
正面から取り込むと多岐にわたり私の手に余りますので、この問題を糖尿病の方にとってよい食事は何でしょうかと置き換えてみます。
病気もなく少し太り気味の方にとってどのような食事がいいかなどの課題は見合わせます。

このテーマを選んだ背景には日本の糖尿病食事療法が大きな転換点にあると痛感していることがあります。
炭水化物、タンパク質および脂質が三大栄養素と呼ばれおり、これらを一日の適正摂取エネルギーにどのように配分するかということが食事療法の第一歩です。
タイトルは、炭水化物の比重を増やすのがよいのかそれとも脂質の比率を増やしてもよいのか、という適正配分の問題を比喩的に表したものです。

歴史的に概観したいと思います。
現在、「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」(日本糖尿病学会編)によると適正比率は、指示エネルギー量の50-60%以下を炭水化物とし、タンパク質は標準体重1kgあたり1.0-1.2g(大体20%)、そして脂質エネルギー比は25%以内とされています。

1921年は糖尿病治療に画期的な達成があった年に当たります。インスリンが発見されたのです。
当時は糖尿病の治療法としては飢餓療法に近い極端な炭水化物制限食しかありませんでした。
その後、治療が進歩するにつれ糖尿病合併症の中で、動脈硬化に基づく心筋梗塞や脳梗塞(大血管障害)
の脅威が増大してきました。それにつれ動脈硬化予防のため脂質を制限することが大切とされました。
それと表裏の関係で炭水化物の比重が高まっています。炭水化物制限食から脂肪制限食への大きな
変遷
です。

図に推奨される適正比率の変遷を示しています。

([津田謹輔 ‘炭水化物制食の是非’(DITN 2008年、第364号)]から引用させていただきました。)

そして、栄養療法の指導的立場にある米国糖尿病学会(ADA)は1994年に適正比率の勧告をやめました。
画一な栄養療法を見なおし個々の患者様の食習慣を踏まえた個別化の方向を打ち出しました。
まとめますと、低炭水化物食の推奨から脂質悪玉説(裏と表の関係で高炭水化物食)をえて個々の 食習慣の尊重が歴史的な潮流です。

しかしながら、糖尿病食事療法にそれぞれの方のライフスタイルを尊重することができるようになったことから、混乱も生じています。
これらを背景にして以下のことを論じていきたいと思います。

1)最近、糖尿病食事療法としてあらためて低炭水化物食(低炭水化物ダイエット)が見直されていますがそれの是非について。

2)日本の糖尿病食事療法は伝統的に「糖尿病食事療法のための食品交換表」に反映された考え方に基づいて指導されています。

この方法論に批判的な立場から全く別の原則に従った方法である‘カーボカウント’を紹介します。

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