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1型糖尿病のインスリン療法を共に考える

ドクターコラム

 先だって、糖尿病専門医の有志と懇談する機会がありました。共にテーマを分担して意見交換する集まりです。私に割り当てられたテーマが1型糖尿病のインスリン療法でした。
 この機会に改めて考え直したことを書いてみたいと思います。インスリン療法のレベルアップが目的です。
 1型糖尿病の方は基礎インスリンを補充するために持効型インスリン(ベーサルインスリン)と追加分泌を補充する超速効型インスリン(ボーラスインスリン)を使用した強化インスリン療法を行っておられます。
 それぞれのインスリン量の適正化が血糖コントロールの改善につながります。
 ベーサル量は自己血糖測定(SMBG)で早朝空腹時の血糖が目標値(たとえば米国糖尿病学会基準では100-130mg/dl)になるように増減します。
 今回数例の患者さんに前回の院長コラムで紹介した持続血糖モニター(CGM)をしていただきました。その結果多くの患者さんで早朝空腹時の血糖は目標内に入っているのに深夜2-3時頃の血糖が200-300mg/dlと高血糖であることがわかりました。ベーサル量を早朝空腹時の血糖値だけで決めるのは限界があると実感しました。
 ボーラス量の決定にはカーボカウント応用編が重要です(カーボカウントについては院長コラムのシリーズを参照して下さい)。
 これから食べる食事の炭水化物量(カーボ量)をあらかじめ見積もります。それにより上昇する血糖を抑える量を計算することでボーラ量はまず決まります。10gのカーボ量で1単位のインスリン(これをインスリンカーボ比といいます)を注射するということです。
 しかしこれだけではボーラス量は足りない場合がほとんどです。と言うのは食前血糖が高い場合が多いからです。先に決めた量では食後血糖は高いままです。そこで登場するのがインスリン効果値ですね。たとえば1単位のインスリンで50mg/dl血糖が下がります。食後血糖が目標値に下がるようにボーラス量を増やさなければなりません。今回気がついたのはこの追加分の必要性が理解出来ず食後血糖が高い方が多いと言うことでした。
 カーボカウント応用編の習熟度は患者さんによってまちまちでそれをあげることが課題と思います。
 深夜の高血糖の見逃しと食後高血糖の是正が難しいことが1型糖尿病の患者さんの血糖コントロールが困難な原因であると痛感しました。
 このように考えるとカーボカウント応用編、CGM、今回は触れませんがインスリンポンプを使ったCSIIが1型糖尿病治療の三大柱だと思います。
 是非積極的に取り組んでいただきたいと思います。

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